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*パプリカ観ました 感想(ネタバレあり)
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2014/07/02*Wed*
お久しぶりのブログですおはようございます。
今気づいたんですが、ブログわりと長いことやってるのに「おはようございます」の時間帯に書いているのは初めてかもしれません。理由はこの時間にはあまり起きないからです。朝は基本、起きることに心血注ぐ時間帯なので(ダメ人間)
本当にお久しぶりのブログ、かつ小説も更新が滞ってて申し訳ないです。
一月に一回くらいは更新しないとね(´・ω・`)
さて今回ご紹介する映画は
↑こちら。
パプリカ、というとピーマンの色違いですが、こちらのパプリカは人名。
筒井康隆さん原作の小説「パプリカ」を映画化したものだそうです。
本を読んでから観るかどうか迷ったのですが、平沢進さんの「パレード」とか「白虎野」を先に知っていたので、映画の方を観る誘惑が強く、そっちに折れました。
いやー音楽が素晴らしかったです! そういえばOP、ED共に同曲使用っていうのは中々ないと思うんですが、私がただ単に映画観てないだけでしょうかね?
途中で狂気的なパレードの音楽が鳴るシーン(イントロからの盛り上がりがゾクゾクします)、映像の美麗さ、ひたすた「すごい……」と溜息がもれます。
内容的にはSF。
人の夢に入る「DCミニ」という機械の開発に携わる主人公、あっちゃん(クールビューティな女性)。
彼女は夢の中ではパプリカという女性に変貌して、他人が無意識に抱えている悩みなんかを解決する「夢探偵」として活躍しています。
ところがある日、そのDCミニが盗まれたという報告が。DCミニが盗まれてしまえば、そこから他人の精神へ接続が自由に行われ、接続された人はメンタルを操られてしまいます。そうなる前に、手を打たなくては。
そう思い行動するあっちゃんと研究員たちですが、時は既に遅く、事件は起こってしまう……!
しかしこれ、こういうあらすじがどうこうというよりは、ひたすら綺麗なグラフィックや、狂気的なエロや、声優さんたちの技量に肝を抜かれたり、アニメーターさんにお供えものをするレベルだと感動したりする、そういう映画だったなあって思います。
いやほんと、パレードのシーンは何回観てもトリハダです……!
ストーリーラインを追うより、何か考えながら観るより(考察すると楽しいんでしょうけれど)、頭をからっぽにしてずーっと見ていると面白いんじゃないのかな、と思いました。
私は考えても分からなかったので、よく分からないけど楽しかった!と結論づけました。
以下、ネタバレつき感想です。
ネタバレというか、もう本当に「考察」とか深く考えるとドツボにはまりそうなので、あまりパプリカについて考えてはいないので、本当に感じたことだけなのですが。
映像が綺麗でした!音楽素敵でした!声優さんたちすごい!台詞回しが大変好み!
音楽と映像でここまですごいアニメ作れるんだ……!とひたすら夢を見てる気分で90分すごしました。
ちょいちょい「今は現実?夢?なんでネット上にあるはずのバーなのにパプリカがいるの?今あっちゃんだったのに一瞬でパプリカになってる?あれパプリカ分裂してる?何これ?うーん?」みたいな疑問がわいてきたんですけど、なんかもう「そんなことより今楽しもう」みたいな感じの気持ちになってきてました(笑)
気持ち悪さと華麗さとエロさと狂気が絶妙に交じり合って、大変おいしゅうございました。ごちそうさまでした。
色々とびっくりポイントはあったんですが(所長と粉川刑事が同期、あっちゃんが時田くんにマジ惚れしてる、氷室氏がゲイ、小山内くんがバイセクシュアルなどなど)、EDで白虎野が流れはじめた時に、「あー、この映画好きだなー」、と。
……氷室くんの方はバイじゃなくてゲイですよね多分? なんかそれっぽい雑誌が部屋にありましたし、小山内くんはアイドルらしいですし。小山内くん、嫌なことやってたり、ダメな方の意味でエロかったりするんですけど、報われなさすぎて泣けてきますね。不本意なことやってDCミニ手に入れなきゃいけないわ、惚れた子にフラれるわ、最後哀れな死に方するわで……結局理事長とは相思相愛(?)な関係だったのか、お互い損得勘定の上だったのか、その辺りが気になるとこです。
冒頭~OPや、理事長・小山内くんコンビから逃げているシーンなどの、パプリカの変幻自在のくるくる変身するシーンは見ていて本当楽しいですね。
夢の中ってホント意味わかんないことでもすんなり受け入れてる感じがあるのですが、よくビジュアルで表現できるもんだなあと。
作中で何度か「パレード」がかかる入りがあるのですが、BGMの使い方と映像の魅せ方が実に巧みで、好きだー!!(結局そこに終始するんですけど)
平沢さんの曲もそうなんですが、映像そのものにも、すごい中毒性がありますね。
冷蔵庫と鳥居が先鋒を司るパレードシーン、あれ全部手描きだときいて「うわああ……」ってなりました。本当にアレアニメーターさん大変だったろうと思います……いっそアニメ怖い……。(あのシーン、千と千尋の神隠しの神様が出てくるシーンを担当した人が描いてると小耳に挟んだのですが本当なんですかね?)
台詞回しと声優さんの演技なんですが、いやー、ほんとこっちもすごかったです。
理事長役の江守さん、ものすごい声が私のツボにはまりました……!似合ってらっしゃる!(笑)太く、低く、すごい迫力があって敵としての緊張感がビシビシ出てました。
バーテン二人は筒井さんと今監督が演じていたらしく、スタッフロール観ながらリアルに「うぇ!?」みたいな声出しました。「曰く有りげな、セブンティーン……」って台詞が好きです。17といえば、エレベーター上がりながら映画をなぞっていくシーンとかね、すごい良かった。粉川さんの表情がね。本当は映画好きなんだなあ……って表情と声していて、うんうん、と頷きたくなりました。
台詞だと、やはり最初の所長がおかしくなっていくシーンが一番印象深いですかね。
最初は「ややポエミーな人だなー」くらいしか思っていなかったのが、「何言ってるのこの人?」に変わって、「この人ヤバイアレだー!!」に変わっていくあの感じ。正直窓ぶち割って飛び降りたシーンでは、「あ、死んだな」と思いました。生きててよかった、所長。あっちゃんが所長の台詞に無言で「は?」みたいな顔するのがすごい好きです(笑)
あの序盤で、この映画の狂気が好きになった感じがあるので、お気に入りシーンの一つですね。
他にもたくさんたくさんあって、いちいち書いていったら本当にずっと語り続けていられそうなのですが、とりあえず、私はDVDを買うかどうしようか迷っています。
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*スウィーニー・トッド観ました
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2014/04/23*Wed*
お久しぶりです、三毛猫です。
ブログの広告表示ももはや何度目か(;・∀・)
さて今更ですが「スウィーニー・トッド」を観ました。
ミュージカルなのにR15とはどんな歌が流れるんだろう?と思いつつ借りてきました。
ジョニー・デップ主演。R指定のついた映画というのは久々にみたような気がします。
↑これです。
ハリー・ポッター出演の役者さんが多いので、なにやらハリー・ポッターの世界に迷い込んだ気がしました。
「いらっしゃいませ、そして永遠にさようなら」というキャッチコピーは強烈だったので、公開当時からなんとなく覚えていたのですが、キャッチコピーから想像した内容とは全然違いました。
ミュージカルというのでもっとずーっと歌いっぱなし(オペラ座の怪人みたい)なのを想像していたら、わりとセリフは多めでした。ジョニー・デップが殺人鬼役というのは聞いていたので、ほうほう、と思いながら観てみたのですが、全体的に派手な血まみれパラダイス。
これはグロ耐性ない人が見たら吐いちゃったりしそうですね。
喉掻っ切るシーンがたくさーん。
ネタバレしないあらすじとしては、無実の罪で流刑にされた超腕利き理髪師ベンジャミン・バーカーが、妻子ともども不幸のどん底に陥れられたので、その復讐のために名前を変えてロンドンに舞い戻り、殺人鬼に変貌していく……というものです。
虫と血が苦手な方は観ないことをおすすめします。
以下、ネタバレつき感想です。
この映画で一番好きなの誰?って訊かれたら、多分ラベット夫人をあげるでしょう。
ラベット夫人は最初から最後までいきいきしていて、非常に素敵なキャラクターであったと感じました。全員報われない三角関係というか、判事とか含めるともっとたくさんの矢印があるんですが、スウィーニー・トッド←ラベット夫人←トビーという構図が、破綻の始まりでもあり、映画の中でいいバランスを保っていたのではないかな……。
ラベット夫人が「客が来た!」の瞬間にまな板にドスッ!!と包丁を突き立てた瞬間、「うわあ、この映画はやばい映画だ」と思ったのですが、その後虫……あの、私の間違いでなければ多分あれはG的なアレだと思うんですが(違うことを願うのですが)、アレをパイ生地ごと包むシーンで血みどろシーン以上に食欲が失せました。
あれだけ衛生状態がやばければ、そりゃ客も寄り付かないでしょう……と思ったけど、あの時代のロンドンはGがまな板の上を這いずりまわるのが常だったのでしょうか……詳しい人がいても聞きたいような、聞きたくないような(笑)
私ラベット夫人役の方をハリー・ポッターでしか存じ上げなかったのですが、綺麗な歌声をなさっているんですねー。
ジョニー・デップとのハーモニーは聞いていて楽しかったです。
包丁と麺棒の凶器を手にしながらくるくるGだらけの店で踊る二人が非常に楽しそうでよかった(笑)
ストーリー自体は、復讐ものにあるダークな爽快さ(というと矛盾してるようですが)といったものはあまりなく、壊れていく人間と関係を追っていて、最後に復讐鬼は最愛の妻を間違えて殺して死んでしまう……と、いったもの。
無事に自分の娘を狙っていたロリコン判事を殺せたし、報いとしては妥当といったところでしょうか。
娘は多分若者と幸せになったんでしょうし……。
殺人鬼も死んでめでたしめでたし、かな?
トビーの今後だけが気になるところではありますね。
ラベット夫人の復讐としてスウィーニー・トッドを殺してしまったトビー……主にこれ判決でどういう判断がくだるのかすごい気になりますよ。トビーがスウィーニー・トッドの代わりに連続殺人鬼の濡れ衣きせられたりしないかなぁ。
喉をかっきるといえば、スウィーニーの最初の殺人の動機となった元弟子のピレリ。
ピレリの役者さん、声綺麗でしたねー。髭剃りの時、「あいつ……ベンジャミンだなー」と思いながらニヤニヤしている時の顔が素敵でした。
グロテスクなので、そう何度も何度も見返したい映画ではないですが、役者さんたちの意外な演技と歌が観れただけでも見た価値はあったかなあと思います。
特にスネイプ先生で有名なアラン・リックマンの変態判事役は非常にいいものでした。気持ちいいくらいに気持ち悪かったです。あのねっとりした声で気持ち悪い愛囁くシーンとか。
水夫の若者に「そっちの経験も豊富なんだろう?」とか言い始めた時は「へ、変態だー!!」って画面の前で思わず身構えました。んー、いい声の方が変態やると、ほんとに気持ち悪いですよね(褒め言葉)
あの時代の衣装や建物再現が素敵ですし、また1年後くらいに見返してみたい気分です。
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*館シリーズ感想【ややネタバレ含む】
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2012/07/04*Wed*
こんばんは。
こんばんは通り越しておはようございますの時間が近いですね。(これ書いている瞬間、午前1時10分です)
おはようございます。
さて、前から書く書く言ってた館シリーズの感想です。
館シリーズとは綾辻行人さんが書かれている「現実にはありそうにない館を巡って起きるミステリー」のシリーズですね。
順番は、
【十角館の殺人】
【水車館の殺人】
【迷路館の殺人】
【人形館の殺人】
【時計館の殺人】
【黒猫館の殺人】
【暗黒館の殺人】
【びっくり館の殺人】
【奇面館の殺人】
となっています。
私はまだ黒猫館の~までしか読んでないので続き読みたいのですが、暗黒館が複数巻にわかれているのでちょっと手をつけにくいのです。(資金的な意味で)
母と祖母にすすめたところ、二人とも非常にハマってました。
けれど母よ、お願いだから「この人犯人?」って訊くのやめてください、答えづらいから!
さて、追記よりネタバレありの感想です。
【十角館の殺人】
実にお見事。
完全に作者の罠に引っかかりました。ツイッター上でぎゃーぎゃ騒ぎまくって皆さんに「ああ、引っかかったね……」と生ぬるい目で見られました。
残念なのは、探偵の推理で犯人を特定したり追い詰めたりするシーンがなかったことですかね。個人的な趣味なんですけど。
しかし、何も考えずに読んでいって、驚きを味わうのにもってこいの作品です。
何も言わずに、気になった方は読めばいいと思います。
一行でものすごい興奮を味わいました。
【水車館の殺人】
えー、これはですね。
何故か私トリックというか、謎を普通に「いや、これこうでしょ?」という感じで解いてしまったので、満足はしたのですが、驚きはあまりありませんでした。
この作品が昔の作品で、こういうトリックをわりと見ているのが仇になったようです。
【迷路館の殺人】
作者の罠に引っかかりましたその2です。
完全にミスリードに引っかかりました。3重の罠(犯人の見せかけ、真犯人、冒頭からのなぞかけ)にしっかりはまりました。
「白いスーツを着て」云々のあたりで、頭に引っかかったわりに忘れてました。私そういうこと多いなあ……。
文句なく面白かったです。
「気持よくだまされた!」感じが、シリーズ中一番かもしれません。
【人形館の殺人】
なんとも気持ち悪いというか後味の悪い作品でした。あ、決して貶めてるわけではなくて、人形館っていうのはそういう「救われなさ」が際立つ物語だと思うのです。
誰も悪くない……って訳ではないのですが、なんかやりきれない感じですよね。特に石置くエピソードのあたり。
こういうのって実際あったらどういう刑法で裁かれるんだろう……?とちょっと気になりますね。
【時計館の殺人】
アクション映画みたいというのが、ラスト方面の感想ですね。いやー、まさか館ぶっ壊すとは思いませんでした。
あと詩を見て「厨二病?」と思ってしまった自分が……(笑)
この辺読んでて今更思ったんですが中村青司の周辺にロクな人いませんね!全員狂人じゃないですか、いやそうしないと物語は進まないんですけど……。
トリックが本当に奇想天外というか、まさに「こんな発想はどこから出てきた」状態です。いや、あとがきに書いてありましたけどそういうことじゃなくて。
【黒猫館の殺人】
館シリーズ本領発揮第三弾!(迷路館と時計館が個人的に第一第二です。十角館は館そのもののトリックよりも例の一行のインパクトがあまりに絶大だったので)
これ、実際読みながら解いてて黒猫館がどこにあるか気づかれた方いらっしゃるんでしょうか?
まずその前段階の方も見破れないような。私は無理でした。
あとロリコン博士がでてきて、本当中村青司の周りロクなのいない説がますます濃厚になりました。
とりあえず読めている館シリーズがここまでなので、続き読んだ暁にはまた感想をあげるかもしれません。
時計館の例の彼が再登場することはあるのでしょうか……気になります。
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*「レベッカ」
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2011/11/17*Thu*
いやー、久々に「小説」を読んだ気がします。
ずっとここのとこ資料本とかだったもので。
ダフネ・デュ・モーリアの「レベッカ」。
ヒッチコック作品として映画化されているようですが、原作の方がより人間模様が怖く描かれてるんだろうなと思いました。多分。あとがきまで読んだ感じだとそんな印象受けます。
最近読んだ翻訳物の中で心に残ったものとしては、「エミリーへの手紙」もあるのですが、まあ、そのお話は別の機会に。
エミリーへの手紙が非常に心温まるストーリーだとすれば、こちらは徹底的に人間がいかに怖いかをひしひし感じさせてくれる本でした。色々物書きとして勉強にもなりました。
ページをめくりながら「どうなるんだ?どうなる?」とドキドキさせてもらいました。
「レベッカ」は、主人公わたし、が結婚したマキシム・デ・ウィンターの元妻。
「わたし」の名前は一切作中に登場しません。呼ばれる時は、結婚してからの「ミセス・デ・ウィンター」のみ。あとがきにも色々書いてあったのですが、個人的にはレベッカという強大な壁に対して名前を持たない私、という構図ができあがっていて非常に効果的な演出になっていると思います(意図的にせよそうでないにせよ)。
結婚したはいいものの、他人の上に立つことになれない階級層の主人公に対し、何でもこなし、社交界の女王であり、誰からも好かれ、趣味も一流の前妻レベッカ。
レベッカは既に亡くなっているのですが、それ故に戦うこともできず彼女の影に追い詰められていく主人公。
家政婦頭でレベッカを崇拝していたダンヴァーズ夫人は、主人公に事あるごとに歯向かいます。
主人公は果たしてミセス・デ・ウィンターとしてふさわしい女性になれるのか否か、そして物語の後半から伸びてくる死んだはずのレベッカの思惑とは。
ゴシックミステリーの金字塔という本作ですが、なるほどなあと思わされる貫禄を備えた作品でした。
ただただシンデレラガールが強くたくましく生きられるか、小姑(というか家政婦頭ですけど)のいびりをどうかわすのか、という女の戦いかと思ってたらミステリー要素も濃く、またオチがぞっとする怖さを放っていて驚きました。最後を見てからもう一度最初を見直すと、納得と共に改めて怖さが押し寄せます。
どうでもいい話ですが、ダフネの名前を確認するためにカバーめくったら著者近影みたいなとこに美人がいてびっくりしました。うお、美女だ!って感じですがこれ、肖像画?写真?気になる方は『新潮文庫の茅野美ど里訳・レベッカ』の上巻を御覧ください。
これでレベッカの元になったコンプレックス持ってたとか詐欺だ、と同じ女として言いたくなりました……。
まあ何が怖いって、こんな可愛い顔した人が、背筋が悪寒で震えるくらい怖い人間模様書いたってことなんですけどね!
実はこの作品を読もうと思ったきっかけは、ミュージカル「レベッカ」の市場面、ダンヴァーズ夫人とわたし、の掛け合い部分を歌にしたものを聞いたからなのですが、いやー。想像以上に人間こわい。というか、女が怖い。
以下かなりのネタバレ含むので追記にたたんでおきます。
なんとなく前半でレベッカが悪女くさいのはにおっていたので大体の読者が分かったと思うんですが、すさまじい女性ですね、レベッカ。
予想を裏切るしたたかさと強さをもった女性でした。
夫を利用して権力(名誉)を手に入れ、大勢の男を手玉にとって恋愛はゲームと称し、自分がもう取り返しがつかない命だと分かるや、病床で死ぬのは御免だと、夫を逆上させて殺させる。
ホラーものではないのに、船が座礁してレベッカの死体が発見されたのは、彼女の思念に引きずられたんじゃないかという気すら湧いてきますね。
まさに女帝!
悪女というか、悪女なんでしょうがここまで図太く芯の通った生き方されたら、もうため息しかでてきません。拍手はしたくないですが。間違っても憧れる生き方ではありませんが。
余談ですが、イギリスでもいとこって結婚できるんですかね?この本の言い方だとできるっぽいですね?今は法律改正とかあるかもしれないので何ともいえないですけど。
これ、書いてるダフネ自身が女性だからでしょうが、やたら主人公がマキシムにプロポーズされてからの妄想とかが生々しいくてそちらも別の意味で怖いです。
渡すつもりもなくこっそり書いていたラブレターを不意に親に見られたような、頼むから見ない振りして!みたいなとこにスポットライトあてられるとうろたえるこの感覚。
で、レベッカと並んで怖いというか、二大恐怖としてダンヴァーズ夫人が怖かったです。
主人公にとっては並んでいる置物やら書き物全てがレベッカ自身を表していて気後れしているのに、さらに具体的にレベッカを感じさせて嫌味言いまくって恥までかかされるダンヴァーズ夫人は脅威以外の何者でもないですね。
この家政婦頭、前半はレベッカの幽霊、後半はレベッカの腹心の部下ダンヴァーズ夫人本人としての怖さを遺憾なく発揮しまくっていますね。
どこの小姑か!と言いたくなるねちねちした恥のかかせ方!ひー、怖い!
実際小さい頃から育ててたお嬢様の復讐だったから、小姑みたいなもんですけど。
主人公のテンパリ具合が、もし私がこういう不慣れな場所にいたらこうなるだろうな、という予測と妙にかぶって一緒にうろたえてました(笑)
ソースとか分からんよ!献立なんてあなたが決めてよ!っていうね(笑)
マキシムの告白から怒涛の展開を迎えた作品ですが、ミステリー要素にやや驚きつつもページを繰る手が止まらなかったです。
レベッカに追い詰められる日常の小道具(部屋、客の目付き、その他諸々)のなんとリアルでねちっこいこと!物書きとして非常に参考になります。リアリティありすぎて恐ろしいです。
これは何度も読み返したい本に入るなあ、いい買い物したなあと一人満足しております。
ということで長々と感想お付き合いいただきありがとうございました!
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*【スティング】
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2010/10/02*Sat*
ネタがない。
ので、好きな映画の紹介でもしようかと思います。
原題【THE STING】という、有名な映画です。この映画のヒットが現代映画のストーリー原点を作ったといっても過言じゃないんじゃないかと思います。
映画好きさんには是非見ていただきたいですね!
*-*-紹介文-*-*
舞台は1936年のアメリカ、日銭を詐欺で稼ぐ若者ジョニー・フッカー。
彼はニューヨークを牛耳る大物ギャング、ドイル・ロネガンの運び屋にそれと知らずに詐欺をしかけてしまう。
馴染みの警部補スナイダーからそのことを知らされたフッカーは相棒と共に逃げようとするが、相棒は既にロネガンの手下によって殺されていた。
フッカーは、かつて相棒から紹介された大物詐欺師ゴンドーフを訪ね、共に大掛かりな復讐劇を仕掛けようとする。
「"殺し"はしない。俺たちなりの、復讐だ」
相棒の死によって次々と復讐劇に集まる大物詐欺師たち、フッカーを追うロネガンの刺客と刑事スナイダー、大胆にロネガン本人に接近するフッカーとゴンドーフ、そして彼らを取り巻く女たち。
思わず息を呑む緊張感の騙し合い、着実に迫ってくる「その時」、そしてフッカーに伸びる予想外の魔の手とは。
果たして彼らの復讐劇の結末は?
『明日に向かって撃て!』の黄金コンビが送る、傑作映画!
※以下ネタバレ含む感想です。未鑑賞の方はくれぐれもお気をつけて。
まさに「魅せられる」映画ですよね、これは。
「ザ・エンターテイナー」という有名な曲はこの映画の大ヒットを受けて一気に広まったんだとか。
しかし何度見ても惚れ惚れしますね、この黄金コンビの息の合いっぷり。
ロバート・レッドフォードと今は亡きポール・ニューマン。
私がレッドフォード大好きになったきっかけの映画です。
ロネガンを騙すために手を組む時の台詞が好きです。
「このまま一生ヒモでいるってのか?」「ビリーはいい女だ。それも悪くない」
そう言いながらもルーサーの復讐のために動き出すゴンドーフ。
彼らの台詞回しが独特でおしゃれで面白いです。
そして詐欺の手口やロネガンを引っ掛ける詐術にもドキドキです。
実際に使用されていた詐欺法の再現だけあって、リアルです。
列車でのポーカーシーンはハラハラドキドキなんて言葉じゃ足りない気がします。
ロネガンことロバート・ショウもさすがの迫力。
ギャングの長だけあってすさまじい眼力です。ポーカーで勝ち続けられ、酔っ払った振りで失礼な言葉を吐きまくるゴンドーフに業を煮やしたロネガンが、ゴンドーフが注ごうとした酒瓶の口をガッ!と取り押さえて「ロネガン……ドイル・ロネガンだ。覚えておけ」と対峙するシーン。
めちゃくちゃ怖いです。肝冷えます。
それから、怖いはずでおちゃらけたシーン。
スナイダーが電話しているフッカーのボックスに銃ぶっ放すシーンとかね。
シリアスシーンのはずなのに、ていうかスナイダーさすがは賄賂警官!いきなり銃乱射するとか!一応そこ民間の雑貨屋(ちょっと最近見てないので記憶あやふや)だぞ!
そしてその後思いっきり開けられた扉に腕挟まれてバタバタしたり(笑
フッカーというかレッドフォードの鮮やかな身のこなしでの逃走に対して(改札口をひらりと乗り越えるシーンがものっすごくカッコよくてカッコよくて!)、もうバタバタドタドタ、カッコよさのかけらもありませんなw
しかも最後ものの見事に逃げられてその背中に向かって「フッカー!貴様をぶち殺してやるからなあ!」って駅の屋根の上から叫んでますし。
まてまて、一応警察官が「ぶち殺す」とか公衆の面前で言っても大丈夫なのか?(笑
レッドフォードカッコいいアクションシーンと言えばもう一つ、借りた部屋に挟んでいた紙が落ちていることから侵入者の存在に気づき、「……っ!」と顔を上げて瞬時に逃走を図るフッカーがカッコいいです。
間一髪で扉に突き刺さる銃弾。間に合わないと判断して手すりを乗り越えて階段に着地し、外に飛び出てやって来たゴミ収集車に掴まるあのカッコよさ。
でもあれ反対側から見られてたらどうしたんだろう、丸見えなんだけど(笑
だからあの殺し屋、あとでロレッタに制裁受けるんですよ。「おい、サリーノ、俺は……」ずどん。
すっごい呆気無い最期でしたよね、あの殺し屋さん。
それを言うなら最初のモットーラ気の毒すぎますけどね。「ふっふっふ、これで大金騙しとってやったぜ!(金額忘れました)」とワクワクして物を開けたら「ティッシュペーパー……だと……!?」っていうあの顔。
あの後モットーラって拷問されて死体になって見つかったんでしたっけ。まあ、運が悪かったんですよ。フッカーの←
ポール・ニューマンはニューマンで「一枚上手」な雰囲気が出ていてとってもカッコいい。
最後、ボディーガードが一人で現れて「まさか……!?」と息を呑んだあの横顔、ものっっすごく綺麗ですよね!
その後でボディーガードの後ろからちょっと気まずそうに現れて照れ笑いしてみせるフッカーもいい。それを受けて「心配させやがって、この野郎」とほっとした笑みを浮かべるゴンドーフがいい。
そしてその後で「では、私はこれで」とばかりにちょっと帽子を下げて出て行くボディーガードの男がものすごくカッコよかった。
上記の台詞、本当はないですからねwオール無言で、これだけを表現してみせる役者さんたちが本当にすごいと思いました。
本当に語っても語り尽せないくらいすごい映画だと思います。
演者の質、演出、ストーリー、曲、どれをとっても一級品。ああ、また鑑賞したくなってきた。
ではでは、ここまでお付き合いいただいてありがとうございました!
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